美濃 篠脇城 🏯全周囲に張り巡らされた圧巻の畝状竪堀

美濃 篠脇城 (岐阜県郡上市大和町牧・篠脇山) <県指定史跡>

ここのところ・・。
越前大野への兄弟遠征に加え、中信濃安曇野マラソン遠征、とイベントが目白押しでした。
バスケ試合の滋賀県守山市、岐阜県大垣市内の館城めぐりもありましたっけ・・。

訪問した城址も全部で30城館を超えてしまいました・・。
ある意味、これはとても幸せな城郭ライフ、ではあります。
どれもゆる~い城めぐりではありましたが、楽しく勉強になり素敵な思い出となりました。

さて・・。そのあとのブログ更新が大変でした・・。
3日に1城の記事更新でも追いつきません。そんな中、置き去りにされた美濃の名城たち。
やっと、ここまで辿り着きました。それが今回の篠脇城です。

sinowaki (12)明建神社前に立つ石碑とその背後の篠脇山。

sinowaki (40)駐車場から東氏館址庭園を見学して登城していきます。

sinowaki (17)
美しい清流、栗巣川を渡っていきます。

付近は「古今伝授の里フィールドミュージアム」となり、和歌文化をテーマとした野外博物館です。
賑やかさはありませんが、雅で静寂な自然あふれる散策コースです。
東氏記念館で和歌や城の資料などにも触れることができます。

sinowaki (20)東氏居館があった庭園風景を眺めます。

とても落ち着いた雰囲気の庭園と広場です。
発掘調査によって整備され、こうして鑑賞できることはとても素敵ですね。
のんびり茶を服し、和歌でも詠みながら、昼寝でも?したい所です。

sinowaki (21)国の指定名勝になっています。

風流な歌人でもあり、知恵武将でもある東常縁(とうのつねより)公がこちらにいらしたのか・・。
なんだか、こちらまで風流な気分になってしまいます。(がらでもないのですが・・)
さすがは、フィールドミュージアム、というだけのことはありますね。

sinowaki (22)
庭園を眺めながら城山に登って行きます。

何度か折れながら登って行くこと約20分。
行く手に巨大な竪堀が大手道にかけられていることに気づきます。↓

sinowaki (23)

sinowaki (36)
頭上を見上げると主郭部の切岸に見下ろされています。

sinowaki (24)
水の手であった「水船」と呼ばれる施設が復元されていました。綺麗な谷水でした。

sinowaki (38)広々とした主郭部に到着しました。

主郭部内部は広く、浅い段で3段に区切られています。
削平状態も良好で、兵員収容スペースとしては大きい郭だと言えます。
背後には土塁と二重堀切が大きく備えられています。

sinowaki (37) 本丸の様子。

sinowaki (26) 東氏の石碑。

sinowaki (28)
本丸背後の土塁。

sinowaki (27)主郭を取り囲むように放射線状に30本余りの竪堀が設けられました。

地元では通称「臼の目堀」と呼ばれる畝状竪堀群です。
遺構をじっくり観察すると「竪堀」と「竪土塁」の連続併用になっている様がわかります。
美濃の城郭でここまで巨大で整然とした竪堀群遺構がみられるのは篠脇城がNO.1だと思います。

sinowaki (34)ややわかりずらいのですが大手付近の竪堀群の様子です。

当時は堀底が切り立ち、土塁も高く、深さもあったことでしょう。
逆茂木でもあろうものなら普通に歩くことさえ、ままならなかったことだと思われます。
一度踏み込んだら、逃げ場のない壁と正面からの攻撃にさらされたことでしょう。

恐ろしいほどの周到な仕掛け、といえるでしょう。

sinowaki (32)
主郭部背後の大堀切。
sinowaki (31)
こちらも竪堀群。

篠脇城は南北朝期に下総から下向した東氏によって築かれたようです。
応仁2年(1468)東氏村が守る篠脇城=応仁の乱・東軍は
美濃守護代の土岐妙椿(ときみょうちん)=応仁の乱・西軍によって落城しました。

氏村の弟・常縁(つねより)は落城を悲しみ、詠んだ和歌が妙椿の心を打ち、
城と領地の返還に至った、といういきさつは有名です。
妙椿と常縁はどちらも室町幕府の奉公衆で旧知の間柄でした。

後に常縁は「古今伝授」を受け継いだ人物でした。

歌人としての常縁の一首一首の説得力もすごいのですが
それに応えた相手の心情を察することができる妙椿もまた素晴らしい武人だったと思われます。
「歌も戦いと共にある」、風流の中にも緊張したやりとりを感じます。

sinowaki-zu.png実に素晴しい遺構です。自分も実測調査を兼ねて作図してみました。

天文9年(1540)、篠脇城は越前より朝倉軍による侵入をうけるも、猛攻に耐えます。
家臣の遠藤氏や猪俣氏らの活躍もあり、なんとか撃退するものの甚大な被害を受けました。
東氏は被害の大きさと守備の不安を考慮して、南の赤谷山城へと移っていくのです。

このようにまるで隙のない鉄壁な縄張りが見られる篠脇城ですが・・。
戦いの後、東氏が不安を感じて南に移動した、とはどういうことでしょう?
今日の城の姿は後に他勢力によって改修をうけた姿を残しているという説もあります。

・・だとしたらこれほどの時間と労力と土木普請量をいつ、だれが、施したのでしょう?
朝倉氏は撤退したはずです。
東氏の新城、赤谷山城及び東殿山城には類似遺構は見られません。

sinowaki (39)
三日坂付近。

篠脇城の激戦では双方供、多くの死傷者が出ました。
特に朝倉勢の討たれた兵の数はおびただしかったようです。
その討ち取られた死体で3日間道がふさがれた、ということです。

sinowaki (8)
激戦のすさまじさを物語っています。

一体、この城を巡った戦いには何が隠されていたのでしょう。
朝倉勢の侵入目的は?東氏の撤退真意は?その後の遠藤氏の台頭・・。
城址にて作図をしながらあれこれと考えども、答えは見えてきません・・。

いろいろな推察を残しつつ、一つ一つの断片から読み解いていく。
それは自分なりの考えでも構わない、と思います。
城郭研究の楽しさはまさにそこにある、と思うのです。


古今伝授の里フィールドミュージアムに駐車します。
東氏居館跡の庭園南より登山道あります。徒歩20~30分で主郭部に到着。
水船井戸にも是非寄って見られたらいいと思いますが傾斜が急なので要注意です。

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カブトガニの泣き所

@らんまる様

ひっじょ~にわかりやすい例え、カブトガニですとな?
同感です、まさしくカブトガニです。
しかし最近の少年少女らときたら、「カブトガニって何?」発言です。(困)

ウーパールーパーもエリマキトカゲももう過去の話になってしまいました。

篠脇城、私の友人さん日向さんという方は
全周竪堀群をして「サイコガンダムMK-Ⅱ、30連メガ粒子砲」、との
評価をいただきました。

いずれにせよ、この普請量自体は異常です。
付近の領民だけでなく、籠城しながら兵員たちも従事させないと完成には至らないのでは?と感じます。

なるほど、信濃の城郭はやはり武田氏系の傾向が見られるのですね。
意外と石積遺構が多いようですね。
甲斐の白山城も一度登ってみたいです。

機会がございましたら篠脇城、是非郡上八幡城とセットでどうぞ!

カブトガニ

凄い連続竪堀ですネ。一瞬「カブトガニ」の真下からみた図かと・・・(失礼)

これだけ掘っても安心できない、という恐怖が更に竪堀の数を多くしていったように思えます。「怖いものは怖い・・・」城主の慟哭が聞こえてきそうです。

信濃の山城は西国と東国の中間にあるため、和洋折衷ならぬ東西折衷のいいとこどりの縄張りが多いように感じます。2m以上の高さに出来ない石積みなんかは中途半端で素敵です・・(笑)
畝状竪堀と横堀の組合せなんかは甲斐の白山城がルーツのように言われますが規模はともあれ色々な場所で散見するので、流行りの時期のずれだけに思えます。

いいなあーカブトガニ。あたしゃこの城、一日いても飽きずにあちらこちらでガサガサしていると思いますよ、羨ましいなあー(爆)
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 久太郎 (Q-tarou)

Author: 久太郎 (Q-tarou)
ようこそいらっしゃいました。
久太郎と申します。
「城跡が好き」
ただそれでけでブログを立ち上げている城好き若輩者です。
おかげさまで、昨年4月6日に開設して以来、一年を迎えることができました。

地元の岐阜県内美濃地方の城址を中心に自分なりの想いを込めてじっくりと巡ってまいります。たまに遠征なんかにも出かけます。

時に「ゆるく」時に「鋭く」五体と五感をフル回転。城址での様々な出会いと独自の感覚を大切にしてつづっていきたいと思います。

また城址付近のダムや棚田、名水といった気持ちを揺さぶられる箇所にも寄り道していきます・・。
趣味のマラソンも自分のペースで好きなように走ってます。

どうかご笑覧くださいませ。

「晩秋」
「秋」、というと皆さんはまず最初に何を連想するのでしょう?
四季がうつろいゆく様子が最も目と肌で感じることができる季節なのではないでしょうか?
今年の秋は久太郎にとっては一段と物悲しい季節になりました。
しかし、その思いが故にまた大切なことを感じる季節にもなりそうです。
でもなんだか秋の歌っていいですよね~。
以前なら、男闘呼組さん達の「秋」を熱唱していたものですが(古いですな)、あ、ナンノちゃんの「秋からもそばにいて」もいいかも?
(それも古いよ(#^ω^))
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