美濃 米田城 🏯愛宕山に昇る、反・鬼武蔵への狼煙

美濃 米田城 (岐阜県加茂郡川辺町福島・愛宕山) <町指定史跡>

米田城は木曽川と飛騨川、各々の大河が合流する地点手前に築かれた山城です。
愛宕山山頂に築かれたその秀麗な山容は「米田富士」と呼ばれるに相応しい姿。
川辺ダムによってできた「飛水湖」から見上げる姿が実にシンボリックな存在です。

yonadaj (15)一帯は2つの大河に囲まれた半島状態をして「米田島」とも呼びます。

米田城は在地の有力者、肥田氏によって築かれ米田島一帯を支配していました。
しかし美濃に侵攻した織田信長森可成を兼山城主として送り込んできます。
米田城主・肥田玄蕃允忠政は以降、森氏の与力に付属されたようです。

以降、忠政と森氏との間に生じたわだかまりは後々までのこっていくことになります。
(それは後ほど)

それでは愛宕富士、米田城に登っていきます。

yonadaj (1)
愛宕山へは加茂神社が登り口となります。(駐車場はわかりませんでした)

yonadaj (14)おっと・・、城址碑が早くも現れます。 (* ´ ▽ ` *)

山麓のこのあたりも城館があったようです。
言うなれば愛宕山は山上の詰め城、という解釈でよいと思います。
ここからは背後の愛宕山もセットで拝め、関係性が理解できます。

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絵に描いたような神社の階段はまさに※「男坂」・・。

※『男坂』(おとこざか)は、車田正美さんによるジャンプ漫画。
  現代に生きる最後の硬派、菊川仁義の生き様を描いた車田氏渾身のストーリー。
  ・・本編の内容とは一切関係ありません。

yonadaj (3)
「米田富士」のハイキングコース案内板はとってもシンプル。迷うべくもありません。

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加茂神社の右脇を迂回して山頂へと向かいます。

yonadaj (5)
山頂に近づくと苔むした石段が現れてきます。

yonadaj (6)
石段の左右には食い違うかにように腰曲輪が配置されています。

南から攻め登ってくる敵に対して頭上から攻撃を加えることも出来れば、
側面攻撃にも転換できる構え、となっています。
東西からの備えは急峻な地形を頼っているようです。

yonadaj (8)
登り切ると本丸に到着します。(当たり前か・・)

山頂には愛宕神社が祀られ、楕円形の本丸はよく削平されています。
図面では表現できませんが、かつては全周を低い土塁が巡っていたのかもしれません。
かすかですが微高状の塁線が見て取れます。

yonadaj (7)本丸からの眺望は素晴らしいです。

登った日は若干かすんでいたのですが、美濃加茂市から富加・関方面まで見渡せます。
眼下の飛騨川流域もはるか川上まで確認できます。
反対側には森氏の居城・兼山城も確認できます。

木曽川沿いを直下に抑えることができるのが兼山城、だとしたら、
ここ米田城は飛騨川を直下に抑えることができる要地です。
・・ジャイアン武蔵こと森長可がこの地を欲する訳です・・。

yonadaj (9) 山頂にある城址案内板。

yonadaj (10)遺構はご自分でご確認してください、ということです。
(「言われなくたって!」byアムロ・レイ)

yonadaj (12)
本丸を取り巻く切岸、切り立っています。

yonadaj (11)本丸の北側直下は横堀状となり、土塁が北側に備えられています。

yonadaj (13)
さらにその北には急勾配を経て堀切が城域を区切ります。

作図した図面を紹介したいと思います。

nonesukyan.jpg

縄張りは実にシンプルで地方有力土豪の居城の姿を伝えています。
単純ですが、大手道沿いに食い違うように敷かれた腰曲輪はそれなりに厳重です。
頂上に向かいながら要所要所でクランクさせる導線も地味ながら注目です。

肥田忠政は元亀元年(1570)森可成織田信治と供に近江・宇佐山城を守備します。
浅井・朝倉軍の攻撃を受け、両者が戦死する中、武藤五郎右衛門らと共に宇佐山城を死守します。
南方出陣で忙殺されていた信長軍の隙をついた浅井・朝倉軍を苦戦の末、撃退します。

天正10年(1582)、森長可は米田城の支城・馬串山譲渡を要望するも、忠政はこれを拒否。
ここに両者の間の埋まらない溝がさらに広がりました。
そんな中本能寺の変で織田信長と共に長可の弟・森成利ら三人が横死してしまいます。

忠政もこの事件を好機、と捉えた戦国武将の一人でした。
木曽福島城主・木曽義昌と苗木城主・遠山友忠と共謀して長可らに対し迎撃態勢を整えます。
もし撃ち漏らしても忠政や千旦林城主・吉村源斎らがその先の恵那口で討ち取る、という策でした。

しかし、逆に義昌の子を人質としてされてしまい、あっけなく失敗。
長可の兼山城への帰城を許してしまいます。
長可の方が一枚も二枚も上手、鬼の中の鬼だったようです。

長可は22日に弟三人の葬儀と称して出陣し、米田城を急襲、勢いで東濃全土を掌握していきます。

愛宕山米田城からのぼった反・鬼武蔵への狼煙ははかなくも消えてしまいました。



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それでもどこか憎めない義昌

らんまるさんへ
いつもためになるコメントをいただき大変感謝です。

年度末の仕事に追われ平日はパソコンを開ける余裕もなく返事が遅れてしまいました。

滝川一益ですか!いいですね、その企画展!
一益は伊勢方面にて確実に実績を上げてきた司令官ですし、
かつ味方の主要作戦では遊撃軍として地味ながら影の立役者になっていますよね。シブい織田武将として自分も大好きです!

軍団長になるにはそれなりの実績と行動力がやはり必要!
忠誠心と将来性、統率力と情報収集力、部下をまとめあげる能力・・。
そしてそこに個性が入ってきます。

戦いをなるべくせず、調略と交渉で確実に傘下に収めていく老獪な一益のやり方?は関東東北方面の軍団長にうってつけの人事でしたね。
森長可とはやはり格が違います。信長もお見通しです。

さて清州会議には間に合いませんでしたが、間に合ったところで変わりはなかったでしょうね。信長の横死後も迷いの中、上野国の維持をできる限り模索した姿。縁が深い本国での信雄、信孝に期待したのも原動力になったかもしれませんね。

ところで木曽の殿様はそれでもどこか憎めませんね・・。(笑)
やはり「井の中の蛙大海を知らず」、かな?
百戦練磨の長可のやり口にかなうはずがありませんわ(笑)

それでも義昌はここで長可に恩を売った形ですよね。
人質も珍しく開放されたようですし‥。
長可はおかげでソッコー東濃一円を支配できたのですから・・。
勢いで南木曽まで北上!、・・も充分できたと思いますよ。

なんせジャイアンですから!
俺のものは俺のもの、お前のものも俺のもの!
・・彼にピッタリ(笑)

長い文章になってしまいましたのでこれくらいに・・。

久太郎より

どこか抜けてる義昌の哀しさ

こんばんは。

先日、群馬県立歴史館の特別展「織田信長と上野国」に出掛けてきました。

甲州征伐の功績を認められ東国統一の基盤として上野国の統治を任せられた滝川一益にスポットをあてた珍しい企画展で、僅か三ヶ月の彼の軌跡を追っていました。
さすがに信長軍団の伊勢志摩方面の作戦司令官であり、勝家、長秀、秀吉、光秀と同等の地位にあり、森長可とは格の違いが明確でした・・・。

戦よりも茶の湯を愛した一益が、情報収集を怠った為に本能寺の変での対応が遅れて神流川合戦に及び、清須会議に間に合わなかったとする説は違うように思ってます。

信長に対する忠誠心ゆえに、信長より与えられた上野国の防衛に真摯に取り組み、北条氏の侵略に対抗し激戦を繰り広げたと考えています。

それに比べて鬼武蔵長可の撤退戦は保身に執着する執念が見事でした。
木曽義昌は問答無用で森長可を斬るチャンスがあったのに、百戦錬磨の鬼武蔵の罠にはまりアホさマックス・・・(笑)

独立峰の米田城、美しいですね。
それ故、後詰めが無ければ全滅覚悟の山城の悲壮感があります。
木曽義昌の詰めの甘さが無ければ鬼武蔵の首は胴体から離れていたのに、肥田さんも頼る味方を間違えたようです・・(汗)

長久手の古戦場で鬼武蔵長可の討死場所を探して歩きました。
あっけない最期と聞き及びます。彼は彼なりきに戦国の業を一身に纏って討死したのかもしれませんネ。
プロフィール

 久太郎 (Q-tarou)

Author: 久太郎 (Q-tarou)
ようこそいらっしゃいました。
久太郎と申します。
「城跡が好き」
ただそれでけでブログを立ち上げている城好き若輩者です。
おかげさまで、開設以来、3年目を迎えることができました。

地元の岐阜県内美濃地方の城址を中心に自分なりの想いを込めてじっくりと巡ってまいります。たまに遠征なんかにも出かけます。

時に「ゆるく」時に「鋭く」五体と五感をフル回転。城址での様々な出会いと独自の感覚を大切にしてつづっていきたいと思います。

また城址付近のダムや棚田、名水といった気持ちを揺さぶられる箇所にも寄り道していきます・・。
趣味のマラソンも自分のペースで好きなように走ってます。

どうかご笑覧くださいませ。

春本番!城本番!?
ようやく乗り越えた繁忙期。
いざ、花見と意気込んでもすでに遅し?
いやいや、桜だけが花見とは限りません。
野に咲くタンポポ、田に咲くレンゲソウ、庭に咲いたチューリップ・・と場所場所で楽しめそうです。
散り行く桜もいいものです・・て、もう散り切ってますけどね・・。
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