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美濃 明智中切城 🏯「おしろやま」が伝える存在

美濃 明智中切城 (岐阜県恵那市明智町東方室屋・おしろやま)

今日、中世の城郭は様々な姿を今に伝えています。
使用された時期や勢力背景、立地条件、運用条件や築城目的の違い・・。
そして同じ縄張りは一つとして存在しない・・。

そんな千差万別、一つ一つが個性を持ったところが城址の魅力的な所です。
しかし城址でも現段階で最終的に「城」としては判断されず保留された城もあります。
いわゆる「城郭類似遺構」や「城館参考地」といったグループに入るものです。

もちろん本当は「城」かもしれないし、本当に「城」ではないのかもしれません。
調査した結果、識者の先生方が判断されることなのでとても苦慮する所だと思います。
今回はそんなグループに区分された城館にもスポットを当てたいと思います。

今回は岐阜県明智町に伝承として伝わる「中切のお城」と呼ばれる遺構です。

anakagiri (40)実は麓からはその主郭部が見ることができない奥地にあります。

写真中央のピーク部の尾根をさらに奥に入った頂部が遺構部です。
麓の集落からは山容がわからないのです。
しかし、かつてあった対面山間部の峠道からは見えた、らしいです。

このことは後ほど関係してくるので後述します。

anakagiri (1)
中切城へのアプローチは北の小杉集落側からのほうが簡単です。

「中切のお城」は地元では古くから伝わっています。
「お城」とか「オシロヤマ」と呼ばれているそうです。
かつての街道脇にぽつんと立つ石像が印象的でした。

anakagiri (4)
地形図を頼りに尾根を歩いていくと人工による土盛りが現れます。

自然地形の山中に突如として表れる土木量なのでやはり驚きます。
本来なら堀切があってもよさそうな部分ですがひいき目に見てもありません。
「城館」として扱われなかった理由のひとつかもしれません。

anakagiri (7)
主郭部周囲には腰曲輪が取り巻いています。

anakagiri (14)
一部曖昧な部分が見られますが、それでも段差は確認できる状態。

anakagiri (11)切岸の高さ、角度をとっても充分だといえます。

anakagiri (12)
腰曲輪の端部下も削り落とされ、4メートルほどの高低差がつけられています。

anakagiri (21)東の腰曲輪からみた本丸部に相当する段状部を見ます。

東腰曲輪部分は最も広い空間で東側の谷筋から峠方面を監視しています。
しかしながら堀切や虎口といった防衛施設は見当たらず曲輪のみで構成されています。
防衛施設というより狼煙伝達や中継地としての機能に特化した姿なのかもしれません。

anakagiri (22)
城域ははっきりしており、全周囲に切岸がかけられている。

現場に立って隅々まで歩いた感触では・・、ここは「城郭」だと思いました。
規模こそ小さいですが狼煙伝達施設として見るならむしろ出来過ぎな施設です。
城郭を示す文献の裏付けはありませんが、伝承はずっと語り継がれてきたのです。

そしてこの中切城の地点、なんの特長もない山中に見られがちですが、
地図をよ~く見てみますと、漆原城と明知城の最短距離の中間地点に位置しています。
漆原城から大馬渡峠を越え、ここを通過したものでしょう。

その存在理由は麓の集落を押さえることではなかったのはあきらか。

anakagiri (27)
本丸相当部の内部もよく削平されている状態。

こういった拠点間の交通網をしっかりと繋ぐことを重視した勢力といえば・・。
可能性の一つとしてやはり武田氏による土木事業部を挙げたいと思いますね。
なぜなら明知遠山氏の構築物なら記録として残ると思うからです。

nakagiriosr.jpg
中切のお城の実測図面スケッチです。

在地勢力でない他勢力によって築かれた・・。
しかも武田氏(と思われる勢力)が明知城を接収していた短い期間のみ・・。
それ故に城主などもわからず今日まで伝承だけが残っている・・。

anakagiri (30)
主郭部の片隅から顔を出している石が、何か語ってくれそうです。

以上はあくまでも自分の推理なのですがそれならそれで貴重な遺構だと思うんです。
「中切のお城」が城郭遺構であるということはほぼ間違いないと確信します。
武田氏独特の選地位置も今後の城郭研究の大きなメッセージになると思います。

また機会があったら周辺関連史跡も調べてみようかと思いました。

anakagiri (32)付近は珍しい「枝垂れ栗」が自生する区域でもあります。

岐阜県下でも数ヶ所にしか見られない貴重な植生地です。
現在はその保護が進められ、増殖などを行うべく予定だということです。
近くまで行かれたら覗いてみてみるのもいいと思います。

anakagiri (37)

さて・・もうそろそろ山城散策シーズンは虫よけグッズがないとヤバいです。
これは携帯用の蚊取り線香で山城歩きにはかなり威力を発揮するのですが、
腰にセットしたまま帰りの車内で炊いてしまって大失敗・・。

いやはやこの匂い、しばらくとれそうにありません、トホホです・・。
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お・し・ろ・や・ま

しんこうさんこんばんわ。
いつもありがとうございます。
このご時世、城のことでいろいろと語り合える機会も少ない中、こうしてお便りをいただけること、とても嬉しい気持ちです。

長崎は一足お先に梅雨明けしそうですね。しんこうさんのことですから暑くても山城とか行っちゃうんでしょうね。虫よけ対策さえすれば短時間なら大丈夫そうですが、やはり水分補給が大切になってきますね。

さて、おしろやま、見て頂いたのですね。ありがとうございます。

しんこうさんの仰る通り僕のブログのオープニングカットは城の全景写真で始まります。山と向き合って「これからあそこへ登るんだ」というワクワク期待感に浸っているときですね。城のある山ってなんとなくシンボリックな「何かを持った」山なのでその姿はとても神々しく見えるものです。
山頂から殿様が麓の村々を見ていたように、麓の百姓や旅人は同じように城を仰ぎ見ていたと思うと両方の気分を味わえ心が震えるのです。
もちろんそれを取り巻く自然や里山の美しさも大切なポイントにしています。
ですのでその山容をなるべく色男やべっぴんさんになるようにアングルも捜し歩いたりしてよい写真を撮るようにしています。

これって「愛」でしょうか?(笑)

きっと長崎・肥前のお城も素晴らしい景観に囲まれた城がたくさんあることかと思います。しんこうさんの記事でよく海の見えるお城が紹介されていますね。そこから見えるオーシャンビューは素晴らしいですね。名護屋城とか梶谷城とか印象的です。本当に「Go to Nagasaki」できるのかまだまだ心配になったりもします。はやく行きてぇ~~~です(笑)。

さて「おしろやま」という読み、記録にも残らず口伝で伝承されてきたという貴重な存在です。滝川クリステルさんなら「お・し・ろ・や・ま」というんでしょうか?などとどうでもいいですね・・。
岐阜県の調査報告書では「城郭類似遺構」や「城館参考地」といったグループを設けて城として疑問視される遺構や伝承のみで遺構のない城、後世の類似遺構などを分類して掲載しています。しかし、「それは城として見ない」、という訳では決してありません。あくまでもその後の研究で明らかにしていこう、という前向きな選別であります。何もなくても当時は村の城として機能していた可能性は充分にありますよね。そんな城全国のどこにもあると思うんです。

どちらかというと僕はそんな城のほうが好きなんですけどね・・。

さてさて、これからが夏本番、これからが暑さ本番です。
どうも最近は9月まで残暑がずれこむ傾向にあるので夏バテしないように適度に体を休めることが大切になってきますね・・。お互い無理をせず体を大切にして楽しい城めぐりをしましょう。

どうもありがとうございました。


No title

久太郎さん

こんにちは、今日朝起きてカーテンを開けてみると、外はいいお天気です☀
北部九州ではそろそろ梅雨も明けそうな感じがしますが、梅雨明けると、たぶん暑くてたまらんのでしょう。コロナ渦ですっかり運動不足になっているので、このなまった体で近年の酷暑の中、城めぐりができるか心配ではあります(汗)

久太郎さんのブログの最初の写真は大体、城の全景写真なのですが、そこには山々の連なりや川、田んぼや家屋など人々の暮らし、などなど付近の情景も写りこんでくるのですが、山間の風景はいつもいいなぁと思います。田舎長崎も山ばかりなので、いい田舎の風景が沢山あります。岐阜県も北側の山間部はきっと美しいのだと思います。名古屋転勤がかなった際には、美しい山間の景色を堪能しながら、城めぐりができたらいいなぁ、などと勝手なことを考えておりました(汗)

実はこの記事で、まず目に留まったのが、「おしろやま」。普通、漢字で「城山」、または、ひろがなで「しろやま」というのが一般的だと思うのですが、「お」が頭についているのが、めずらしいなぁと。(どうでもいいことなんですけ、やけに引っかかってしまって)
当時の領主さまは善政をされていて、敬われていたわけでも、なさそうだしと。

「城郭類似遺構」や「城館参考地」といったグループというものがあるとは知りませんでした。まぁ、確かに城跡は、その所在すらも曖昧ものが多いので、そういったグループがあっても不思議ではないですね。
城跡の判定は、遺構だけでは無いとは思いますが、削平地や切岸などを拝見しますと、普通にお城のように見えます。長崎でも、削平地がほとんどない、普通の山だろ、みたいな場所も城として長崎県の調査報告書に記載されていますね。

先日は平山城に用事のついでに行ってきまして、少し藪に入ると、もう蚊がいますね。久太郎さんは蚊取り線香なのですね、蚊取り線香は良く効くとは聞きますが、あの匂いはここ最近ご無沙汰ですね。僕はコンビニなどで売っている虫よけスプレーをたっぷりかけて城へ向かいますが、すっかり虫対策を忘れていて、早々退散となりました(汗)

こんなに体も心も怠けた状態で、この夏の城めぐりができるのか、心配でならないのですが、その際は久太郎さんのブログで岐阜県のお城を巡ることにします(汗)

では(^ ^)

らんまるさん、こんばんは。
コメントいただきましてありがとうございました。
誰も来ない城跡で無心に縄張図を描く・・。
時間が過ぎるのも忘れ城址と会話をしながらの一歩一歩の歩みは本当に至福の時だと思います。

城跡へのアテンドガイドで報酬を得る、ですか・・。
金額はともかくそこにニーズがありそれが人の役にたつことで必要とされるのであればあり、かもしれませんね。
けれど山城は危険な場所でもありますから、そこに行きつくまでから帰りの行程まで何かあった時の責任や保証も請け負う、というのであればそれ相当の金額になることは致し方ないかもしれません。
しかしそれでもいいから、という方々もなかにはいらっしゃるんでしょうね。
それが至福ならプライスレスってとこでしようか。

さて今回私は少しらんまるさんからお叱りをうけた者と自省するところもありました。貴重なご意見をいただきありがとうございました。

団体に馴染めず個人で行動しているとふと周りがみえなくなり、ままに道を誤り言動を踏み外すこともあるかと思います。まだまだ未熟者のため日々勉強の毎日です。今後も邁進していきたいと思っております。

さて岐阜県では教育委員会で編纂された総括諸本は是非こそあれ現時点では実にいいものができたのでは、と思っています。これからはこれをたたき台としてより多くの意見がだされより掘り下げられた研究がされていくことができると思っています。

「機動戦士ガンダム」の劇中における、シャア・アズナブルと整備員との会話をもじった一節は削除させていただきました。ありがとうございました。

長雨と豪雨、コロナに熱中症・・、「地震雷火事親父」、は何処へ行っちまったんでしょうね?

素人集団のなれのはて

こんばんは。

他人の悪口を絶対に言わなかった故本田美奈子さんは、僕の終生の憧れです。

ご存知のように白血病で倒れ生涯の夢の途中で力尽きた彼女ですが、その人生において他人の悪口は言わなかった・・・凄い事だと思っています。

それと山城探訪が何の繋がりがあるかとお叱りを受けそうですが、その場所が山城であるかどうかは、教育委員会か断定できないのなら、「捨て置け」が肝要かと。
無論、貴殿のように積極的に発信していくこと、検証していくことはもちろん重要ですよね。

とある「○○県の古城研究会」では、」そこの会長さんが「どうやら城跡らしい」と認定すれば自治体は認定せざるをえない状況だとか・・・・
ん-ん、どうなんでしょうか?

数年前に、その会長さんにとある長野の山城で偶然お目にかかりました。
偉ぶる事も無くとってもいい人でした。
部下の方々が巻尺で城跡を測りながら、「今度の会員向けの山城ツアーの下見ですよ」と応答していました。

何が真実かは知りませんが、県や市に埋蔵文化財の指定に強制力を持つ団体ってどうなんでしょうかねえ・・。

素人集団が営利目的の玄人集団に変わるって、どうなんでしょう?

時々「林大城、林小城セットでのアテンド 2時間1名5,000円」とかの案内人の広告も見ますが、ぼったくりですよね。

俗世の喧騒から離れて、誰も来ない城跡で無心に縄張図を描いている・・・それこそが至福の時間かと・・・。





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プロフィール

 久太郎 (Q-tarou)

Author: 久太郎 (Q-tarou)
ようこそいらっしゃいました。
   久太郎と申します。
   「城跡が好き」
ただそれでけでブログを立ち上げている城好き若輩者です。
皆様のおかげで開設以来5年目を迎えることができました。
(2016年4月6日開設)

地元の岐阜県内美濃地方の城址を中心に自分なりの想いを込めてじっくりと巡ってまいります。たまに遠征なんかにも出かけます。

時に「ゆるく」時に「鋭く」五体と五感をフル回転。城址での様々な出会いと独自の感覚を大切にしてつづっていきたいと思います。

また城址付近のダムや棚田、名水といった気持ちを揺さぶられる箇所にも寄り道していきます・・。
趣味のマラソンも自分のペースを大切にして走ってます。

どうかご笑覧くださいませ。

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